* 宝玉の王さま(8) *











 ふわり。永い眠りに堕ちる寸前の暗闇の中で、身体を温かいものが包み込んだような気がした。
 おぼろげで、儚いものだ。
 誰かに抱き締められたら、人間の体温というものを感じられるとしたら――
 もしも好きな人に、大切に抱き締められるなんて事があるとしたら、こんな感じなのかもしれないなと。



 宝玉の王さまは思った。
 おぼろげに、はかなく。


























【 お し ま い 】














>>