廃 人 童 話 ・ 「 ヒ ヨ ヒ ヨ 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日のこと、リュウがシェルターの外で遊んでいると

ぬっと怖い顔をした空の動物が現れました。
動物は、リュウのことを食べる気満々の様子です。

「おれはおいしくないよー!」
リュウが縮こまっていると、ものすごい光が落ちてきました。
どうやらババルの電撃のようです。

「ぼ、ぼしゅう?」
リュウはボッシュが助けに現れたのかと思いました。
なにせ彼はかっこいいヒーローなのですから。

でも、ボッシュの姿は見当たりません。
かわりに、なんだかおかしな生き物の背中が見えます。
さっきの動物をやっつけてしまったってことは…

弱っちいリュウのことも食べてしまう気なのでしょうか?

おかしな生き物はリュウに噛みつくかわりに、
そのずんぐりした身体に似合わないスマートなものごしで、
すっと花を差し出しました。

「お、おれにくれるの?」

ふたりはすぐに仲良くなりました。
「名前ないのは不便でしょ? おれが名前つけたげる」
「ヒヨヒヨってどうかな? 気に入った?」
ナゲットはまんざらでもなさそうです。

他愛無い話に花が咲きます。
「それでね、おれはずーっとボッシュといっしょにいてね…」

ボッシュの話題になったところで、リュウははっと気付きました。
彼は間違いなく、リュウと仲良しになったナゲットを見付けると、
こんがりローストにして食べてしまうことでしょう。

「う、うまにくはだめ…」
リュウの不安を知ってか、ナゲットはぴょんと飛び降りました。

そのまま、どこかへ走って行きます。
「ま、待って、どこ行くのお?」

「ま、待ってよ! ぜったい食べたりしないから! 絶対だから!」

でもナゲットは立ち止まってくれません。
しげみに隠れて、すぐに見えなくなってしまいました。

「ま、待ってよー…」
リュウは後を追い掛け、しげみに潜り込みました。

飛び出した先には、何故かボッシュが。

「なにやってんのオマエ。そろそろメシだし呼ばなきゃって思ってたとこだけど」
「ぼ、ぼしゅ? ヒヨヒヨは?」
「ナニソレ」

リュウはまたしげみに潜り込みました。
まだナゲットは中に隠れたままなのかもしれません。

探しまわっても、また同じところに出てしまいました。

ナゲットの姿が次々と思い浮かんで、なんだかリュウは悲しくなってしまいました。
もしかしたら初めての友達になってくれたかもしれないのです。
リュウはボッシュの「およめさん」なので、「ともだち」とは違うらしいのです。

「うわあああん! ぼしゅ、ヒヨヒヨいなくなっちゃったああ!!」
「な、なんなの。何なワケ? 俺なんにも知らねーぞ」
リュウが急に泣き出したので、ボッシュはなんだかすごく困り顔です。
彼は何よりリュウの泣き顔が苦手なものなので。

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ご機嫌ですね、オリジン」
「…あれに、会った」
「それは良かったですわね」
「…良かった」
息子が何故か娘になっていましたが、お父さんはあまり細かいことが考えられないので、ご機嫌のようです。