<ドラゴン・クォーターズ>01:入隊式

 目を開いて、今日からレンジャーになるのだと思った。
 正直不安がないと言えば嘘になる。
 集団生活なんて今までしたことがない。
 そして多分、あまり好きになれそうにない。
 ひとりでいるのが好きだった。
 静かな空間でひとり瞑想と空想にふけっていることが。
 だがそんないくらもある不安要素よりなにより、今寝床から自発的に背中を引き剥がさなきゃならないということのほうが、気が重くどうしようもないくらいにめんどくさかった。
 ああ眠い。
「オイ! バカ、まだ寝てんのか!!」
 どんどん、扉が鳴った。
 壊れそうな具合だ。
 あれはもうちょっとものを静かに取り扱うことを覚えたほうがいいと思う。
 いくらこの集合住居が彼の家族の持ち物だからといっても、今住んでるのは彼ではないのだから、自由に壊して良いってことはないはずだ、うん。
「コラ、まさかとは思うが、おまえまだ寝てんじゃねえだろうな? つーか入隊式とっくに始まってるっつの! なんで俺までとばっちりを食うんだ、あああ、おまえは昔からいつもそうだったよな、ジコチュ―で俺に迷惑ばっかり掛けやがって」
「……うるさいな……」
「んだと、てめ……って、その声はまだやっぱ寝てただろ! 起きろバカ、起・き・ろ!!」
「うー……って、はじまって、る?」
「そうだよ! はじまってんだ、既に5分遅刻だ! その上こっから式場まで何分掛かると思う? 下層だ地下だ、はい終わり、おめでとう、万年駄目レンジャー確定だ」
「それは……困る……」
「困ってるなら出て来い、バカ!」
「なあ……やっぱり、レンジャーなんてめんどくさい職業はやめておこう……電力供給ビルの警備員とかどうだろう、あれ毎日ぼーっと突っ立ってるだけで楽そうだ」
「あれもレンジャーだっつの! あーおまえ、俺に喧嘩売ってるな? 俺の輝かしい未来の栄光の邪魔をする気だな? いーか、俺は、このメベト=1/4はその気になりゃオリジンにだってなれるD値を持ってんだ。なんでおまえなんかと同位なのか納得できないが、その辺わかってんだろうな?」
「……ぐう」
「寝・る・なー!!」
 がしゃん、とドアが蹴破られた。

◇◆続◆◇

今日の父ちゃん:めんどくさがり