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百鬼夜行にかちあった。 表はどうなっている。ほかの組長は、平隊士たちは。 「では、自分が様子を見てこよう」 待て待てサクヤ。一寸法師のお主になにができる。 「なんかすごくひどいこと言われてる」 しかし、なぜこの新選組屯所に、とつぜん化け物の行列が突撃してきたのだ。今まではこんなことはなかった。 「自分には判断がつかない。こういった事象は坊主の領域だ。最近変わったことといえば……近隣の辻で地蔵祠が破壊されたという報告が何件か上がっている。性質の悪い悪戯をする者がいるようだと、今週はじめから夜間の見廻りの人数を増やしている」 「そう。僕、先週まで長岡京に行ってたから知らなかった。どのあたり? ……なるほど。大内裏の裏鬼門があった場所から、屯所に誘導するような形で辻々のお地蔵さんが壊されてるね。蔵の屋根裏でサクヤちゃんがやっつけたお化けには、式札が貼りついてたらしいし。そいつが屯所の情報を盗み聞きして主人に知らせた。一番星ちゃんが相撲をとった式神も、同じ相手が送りこんできたのかも。今回の百鬼夜行も、同じ相手が何らかの手段で呼び出して新選組に攻撃を仕掛けてきている可能性が高いね。式札を扱える人なんて、僕には陰陽師くらいしか思いつかないけど──」 「今北産業」 「お化けの間者が新選組の情報収集してた。 「承知した」 陰陽師……。陰陽道宗家の御方の姿が脳裏にチラつくが、まさかな。 「藤堂。そこにいんのか」 その声は一番星か。平隊士を連れて、寺に逃げたのではなかったのか馬鹿者。 「開けてくれよぉ。おっかねぇバケモンがわんさか湧いて出てきてさぁ。逃げても逃げても追っかけてくんだよ。捕まったら食われちまうよぉ」 開けるも何も、障子一枚で何を言ってる。自分で開けられるだろう。 「障子に映る影はバカ星だが、十割あやしい。あきらかに本人ではない」 「しーっ。返事もしないほうがいい。一番星ちゃんは裏のお寺にいる。ふたりとも、開けちゃダメだよ」 「サクヤとスズランも一緒か。おおい。開けてくれよぉ。助けてくれよぉ。開けてくれよぉ」 スズラン。 「ダメ」 ……うむ。 「開けろよ」 |
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−「壬生怪談・百物語…紫鈴堂・えしゅ
2023」−