「ね、ねえ……ほんとにするの、ボッシュ?」 リュウはちょっと怯えた顔で、自信がなさそうな上目遣いでおどおどと言った。 ジャケットを脱がしたあたりで「わ」という顔をして、「まさか」というふうに顔を火照らせて、正解だバカ。 オマエほっといたらすぐフラフラどっか行っちゃうし、次のことなんか気長に考えてられない。 大体俺がどれだけオマエのことなんか考えてやったと思ってるわけ。 しかるべき礼はあるべきだ、うん。 「ほんとにしちゃう」 「……ど、どこまでするの? おれ、あんまり自信ない……」 「どこまでって、えっちなことって言ったらさあ」 俺はリュウのニブさにふうと溜息をついて、あんまりろくに肉もついてない尻を鷲づかみにした。 リュウはびっくり箱でも開けた時みたいに、かちんと硬直した。 「ココにちんちん突っ込んでもいい?」 「…………あ、あああ」 リュウは固まったまま首をぶんぶんと振って、わけのわからない声を出した。 「や、止めた方がいいよおれ何しちゃうかわかんないしっ! 痛いって感じたら勝手にヴィールヒとか出ちゃうしそれじゃなくても興奮したらおれ、ていうかアジーンがボッシュ殺しちゃうかも……」 「……やめろよそれ」 「こ、怖いよ、ボッシュ……」 「俺のセリフだってーの」 「だって」 「うるっせーな! 黙ってろよ! 俺のことが好きなんだろ!?」 俺はイライラして、リュウに怒鳴った。 リュウはびくっとして、それからこくこくと頷いて、ぎゅっと目を瞑った。 まるで注射を打たれる前のガキみたいな調子で。 「そうだ、大人しくしてりゃいいんだよ」 やっと静かになったリュウの服を引っぺがして、俺はじーっとリュウの身体を観察した。 あの、見慣れた身体。 この前触り合った時より、大分肉はあった。 まああの時はコイツ死に掛けてたからなんだろうけど、今だってろくに体重もない。 ちょっと固いくらいで、腰なんかものすごく細い。 女じゃないから胸はないし、顔は可愛いけど地味だし、貧弱なボウヤの見本みたいな。 女みたいに股の間にすぐに突っ込めるって訳じゃなし、処女よりずうっと扱い辛いし、身体固いし、貧乳とかいう以前にスジだし胸。 なんで俺こんなのが良いわけ。 でも、すっげえヤリたい。 犯したい。 気持ち良いって言わせてやりたい。 リュウは、可愛い。 股座を撫でてやると、リュウは半泣きで震えた。 「……ボッシュぅ……」 人差し指と親指で摘み上げて揉んでやってると、リュウの小さいそれはすぐに育って、赤く色付いた。 「……おまえ、怖いとか言っときながら、既にやる気満々じゃん」 「……う。い、イヤなわけじゃないんだから」 「あっそ」 「あの、ボッシュ」 リュウはちょっと呼吸を荒くしながら、視線をぐるぐるあっちこっちにやって、ねえ、と蚊の鳴くような小さな声で言った。 「おれ、何すればいいんだろ……」 「ハア?」 「だ、だってヘタなことしたら、ボッシュ怒るだろうし、なんかあの、へ、ヘンなんだけどそれより」 「ヘンって、気持ち良いって言えよ」 「……うぁっ、や、やっぱりちょっと待ってよ!」 リュウはぎゅうっと俺の腕にしがみ付いた。 「だ、ダメ……ダメ、いや……」 「邪魔」 「ボ、ボッシュう」 リュウは顔を真っ赤にして、ふるふると首を揺らした。 「あ、あんまり、そうされると、おれっ」 「何? カワイイ」 「あ、あっ、……お、おれ、あぁ、おれ……」 リュウはふるふると震えながら、まずいよ、と呟いた。 まあその様子は大変可愛らしいものであったので、何というか、俺は今更ながら欲情してしまった。 俺の腕を掴んでいるリュウの手首を取って、鉄網に押し付けて、 「――――ッつ!!」 俺は痛みに顔を顰めた。 慌てて見ると俺の手のひらは軽い火傷を負っていた。 そして、リュウの腕には例の変化が見られた。 燃えていた。 炎を纏い、鱗に覆われ、長くて鋭い鍵爪が生えていた。 「……リュウ?」 「……あ……」 リュウは「やっちゃった」というばつの悪い顔をして、申し訳無さそうに謝った。 「……ゴメン」 そして裸の四肢をだらんと投げ出して、やっぱりおれってダメだ、とうなだれた。 「火傷しちゃった?」 「……おかげさま」 「……やっぱり、もう止めたほうがいいよ。おれ、こんなだし。ボッシュに会うために元のおれっぽくクールダウンしてきたんだけど、やっぱりちょっと気を抜くとすぐ駄目になっちゃうみたいだ」 「…………」 俺は、黙ってリュウの腕を見ていた。 異形の腕は、やがてリュウの意思がそうしているのか、すぐに鱗が溶けて元の肌色に変わり、すべらかになって、いつもの細っこい華奢な腕に戻った。 ちょっと待ってね、とリュウは言って、今しがた変異した部位を確認し、俺の顔を見て、困ったみたいに笑った。 いつもの顔で。 「……こんなの、する気なんかなくなっちゃっただろ。ボッシュにはもう見せたくなかったんだけど、おれは怪物なんだ。ディクよりひどいかも」 「…………」 「ほんとに死んじゃうよ、ボッシュ。 ……もうおれなんかに触るの、止めたほうがいいよ」 リュウは俯いて泣き笑いみたいな顔をして、自嘲気味に言った。 俺は、リュウの顔に手を伸ばした。 頬を撫でた。 リュウは気持ち良さそうに目を閉じて、今しがた変形した腕と反対側の手を、おそるおそる俺の腕に沿えた。 俺はそのままリュウの額を触り、頭を撫でた。 そして、結われたままだった髪を思いきり引っ張った。 「いっ、いたっ!! いたたた!」 「何オマエ。言いたいことはそんだけ? リュウのくせに俺に命令すんの?」 「め、命令じゃない! 痛いよボッシュ! 引っ張らないでよ!!」 「やだ」 「ボッシュー!!」 リュウは目尻に涙をつけて、やめてよー、とか情けない声を上げた。 これもあの頃の通り。 俺が良くいじめてやってた相棒だ。 「ハイ、お喋りタイムおしまい。足開けよ」 「ちょっと聞いてなかったの?! 危ないって!」 「ハイハイ、聞いてる聞いてる」 「も、もう、ボッシュのバカ! ワガマ……わわわ」 リュウは、俺が足首を掴んで大きく股を開けさせて、尻の穴に触ると、思いっきり引き攣った顔をしてまた固まった。 いっそのことそのままずうっと固まってくれてるとやりやすいんだけど。 「そ、そんなとこ、見ないでよ。 恥ずかしいよ。 おれなんか駄目だって言ってるじゃないか……む」 ぶつくさ真っ赤な顔で文句を垂れるリュウの口に指を突っ込んで、黙らせてついでに指を濡らして、そうしてリュウの尻を弄くってやった。 「……い、いやっ! だ、駄目だった……っく、ぅん!」 あんまり引っ張るので、ちょっと意地悪い気分になってきた。 コイツ、勿体つけすぎ。 湿らせた指を動かしてると、段々と穴は開いてきて、解れ始めた。 そのまま中にまで入れると、リュウは悲鳴を上げた。 それも結構色っぽいの。 「……あ、っあ、ボッ、シュぅ、おれ……そんなの、無理……」 「ていうか入ってるし?」 「だから……っうう、は、恥ずかしい……やっ、ボッシュ……!」 リュウはイヤイヤをするみたいに首を振って、でも嫌がって暴れるみたいなことはなかった。 「ヤじゃなかったの?」 「……て、ほし、けど、おれ、ヘンなカラダだから、やだよボッシュ、おれなんかに触らないでよ……」 「もーそれ以上余計なコト言ったら、尻の中にサクッと剣とか突き刺していい?」 「…………」 「よろしい」 「……んっ、ボッシュは、やっぱり、意地悪だぁ……」 「まだ言うか」 「あ、っん。……っはは、おかし……あぁん」 リュウはくすくすと苦しそうに笑い出し掛けて、急にびくっと引き攣って、呼吸を一際激しくした。 「……ぁあっ! ボッシュ、おれ、んんっ」 「なに?」 「き、気持ち、いいみたい……」 「ふーん」 どうにかそっけないフリしてるけど、俺の方もかなりきてる。 ああもう、なんでこいつこんなにカワイイわけ。 世界はなんか間違ってる。 俺は間違ってないけど、半分ディクみたいな化け物なのに、リュウは可愛い。 「……あっ、ボッ、シュ……」 リュウが怯えたようにびくっとした。 涙で濡れ掛けてる目を真丸に見開いて、俺の股間を凝視している。 こっちもとっくに準備万端で、ていうか万端過ぎてちょっとキツイ。 「……あ」 「リュウ」 「ちょっ、あん、ボッシュぅっ……! そんな、そんなの、入んないよ?!」 「入る入る。大丈夫」 「いやだ……バカッ! ……あ!」 俺は、リュウの尻に勃起した性器を突き立てた。 リュウは止めを刺されるディクみたいに小刻みに震えて、口を半開きにしたまま仰け反った。 俺はリュウの腰を掴んで、狭い孔の中を這い進んだ。 「……ッ! んんッ! あ、あああっ、ボッ、……!」 「リュウ、カワイイ……」 「……あ、うぁあ、入って、入ってきて、るぅ……?」 息も絶え絶えという具合で、リュウはぎゅうっと俺の背中に抱き付いた。 爪を立てやがったので、俺の背中にいくつか傷がついたようだ。 すっげえ痛え。 「……ああ、やだ、もう、無理だよ。 入んないよ……あぅ、ああ、やだ、まだ……」 俺はまだ、リュウの中で奥へ入り込んでた。 ソコは狭くて小さかった。 リュウはガタガタと震えて、もう死んじまうんじゃないかってくらい呆然と焦点の合ってない目をフラフラさせていた。 俺はそのまま動き始めた。 俺の腰がリュウの太腿を擦るたびに、リュウはきしきししたかすれ声を出した。 「あっ、うう、ボッシュ、ボッシュ……っ、はぁ、ボッシュう……!」 リュウは泣きながら俺に抱き付いてた。 「……っ、ダメ、痛くない、そんな、あぁ」 「リュウ……?」 リュウはうわ言のように、意味を成さない言葉を紡ぎ出していた。 だけど、俺にはその意味は分からなかった。 「いいん、だよ、おれ、こうしてたい……だから……っああ! アジーン!!」 ぎしっ、とリュウが軋んで、悲鳴を上げた。 それと、同時だった。 急に何の前触れもなく、虚ろに潤んでいたリュウの瞳が焦点を取り戻し、その両目が真っ赤に燃え上がった。 まったくの無表情でもって、ソイツは宣言した。 『汝を我らに害成すものと認識する』 そして――――めきめきと音を立てて、細い腕はごつごつと固い外殻で覆われ、猛禽みたいな鋭い爪が現れた。 俺の目の前に突き出された手のひらには銀色の眩しい光が集まり、 ……ちょっと待て! 「いートコ邪魔してんじゃねえ、化け物!」 俺はソイツの、リュウだかアジーンだかの肩を強く掴んだ。 「俺はリュウが好きなんだよ! オマエの言う恋ってやつだよ! 俺のもんだ! 文句あるか?!」 舌打ちをしてソイツの唇を奪い、地面に押し付け、俺は叫んだ。 「俺はおまえが好きなんだよ、リュウ!」 ひかりが、はぜた。 俺は呆然と、その天井の穴を見上げた。 はるか上方まで真っ暗な空洞が、焼け焦げて広がっていた。 エレベーターも完全にいかれているだろう。 「あっぶねえ……」 俺は呆然と呟いた。 俺は生きていた。 下敷きにしているリュウも生きてるらしい。 ……ていうか、今コイツがやったんだから当たり前か。 「……ボッ、シュ?」 リュウはゆるゆると俺を呼んで起き上がろうとしたようだったが、腰が抜けてしまって、うまく動けないようだった。 今気がついたのだが、太腿の内側にちょっと血が零れていた。 無理をさせていたみたいだ。 その様子はなんとなく処女みたいでそそるものがあったが、 「……このバーカ!」 ごつ、と俺はリュウの頭を殴った。 フツー死んでるぞ、今の。 「ご、ゴメ……」 「ゴメンで済むかよ! あーあ、萎えちまった」 「萎え……」 「ちんちんがちっこくなっちまったってこと」 「し、知ってるよ! わざわざ説明しなくても!」 リュウは顔を真っ赤にして、わあ、と泣き出した。 「おれ……おれ、やっぱりちゃんとできないよ! ボッシュとしたいし、苦しいし、でも痛いし、痛いからカラダは勝手に動くし、もうダメだよ、おれボッシュ殺しちゃうよ!」 「……確かに今、死にそうだったけど」 「ボッシュ……ボッシュう」 リュウは、ごめんね、と俺に謝り倒した。 裸で泣き出しているリュウを見ていて、俺は、 「……ていうか、また俺、キたんだけど」 「…………」 「なんか、おまえの裸と泣き顔に欲情しちゃったみたい」 リュウは、もう怒るべきか呆れるべきか、それともまだ謝らなきゃいけないのか、判別つかないような顔をした。 「ボッシュ……おれの言うこと全然聞いてくれない」 「痛いのがダメなんだろ? なら、気持ち良くなりゃいーじゃん」 「あのねえ、そんな簡単に……っあ」 俺はまたリュウの尻を抱えて、突っ込んで、抉った。 今まで潜って何度も動いていたから、そこはもうちゃんと俺を奥まで通してくれるようになっていた。 「ボッシュ……っ、バカ、もう、絶対バカだ……!」 「自分のこと棚に上げる気?」 「バカ……っ! ん! あっ!」 リュウはそうやって可愛くないことをぶつぶつやっていたが、急に色っぽい声を上げ始めた。 「どうなの? まだ痛い?」 「い……や、ボッ、うぁ、ちょっと、ねえ……」 リュウはぐすぐすと嗚咽を混じらせながら、かすれ声で言った。 「き、きもちいい……」 「――――っ、リュウ……!」 何コイツ、無茶苦茶カワイイ。 俺が擦ってやるたびに、リュウは喘いで、ちゃんとよがり声らしきものを上げるようになった。 半分解けた髪が、汗でぺったりとリュウの頬にくっついていた。 声もカラダも、腰の動きも、尻を上げて強請るような動作も、全部がリュウのくせに、たまんないくらい色っぽかった。 地味マジメだと思ってたけど、やればできるんじゃん。こんなエロい仕草とか。感心。 「あ……! あっ、あん、ボッシュ……! はぁっ、やっ、きっ、気持ちいいよ、これ……っ、なに?!」 リュウは半分裏返った声で、悲鳴を上げた。 それも、壮絶に色っぽいやつ。 こんなの聞いて欲情しない奴がいたら、ソイツはおかしい。 「ボッシュ……! あっ、おれ、うぁ、ボッシュ、――――好き……っ、ボッシュ!」 リュウは、カワイイ。それもとんでもなく。 どうしよう、こいつ。 「あ、あ……ボッシュ……ぅ」 リュウはイッちまって、そのせいで強張って全身を収縮させて、腹の中にいる俺を締め付けた。 その刺激は大分キツくて、俺はリュウの中に放った。 長く長く、コイツは男だから俺のガキなんてできないけど、ホントに意味もないけど、抱き締めたまま、最後まで。 リュウの小さい、狭いソコから溢れて零れたものは、コイツが今しがた吐き出した体液と混じって、鉄網から滴り、はるか下方の暗闇の中に消えていった。
そういえば私、エンディング前の例の黒犬との撃ち合いイベントまで、リュウたんのDブレスは口から出てると思っていました。
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