43:「何度目かの再会」 |
ボール型アクマを斬り捨てて、残骸を踏み躙り、神田は廃屋の奥へ声を掛けた。 「生きているか」 しばらく沈黙があった後に、控えめな返事が返ってきた。朽ちた木の箱が動き、下から白服のサポーターが顔を出した。 「……エクソシスト……?」 「黒の教団所属、エクソシストの神田だ。イノセンスはどこにある」 「き、来てくれたのか。ああ、イノセンスは無事です。地下に保管してあります――地上はアクマだらけで運搬は難しいと思います」 「案内しろ」 「はっ」 木箱の下には錆びきった梯子があった。ずうっと下へ続いている。資料にもあったが、どうやら街は広大な地下部分を有しているようだ。随分昔に廃棄された都市だけあって照明は機能していなかったが、ほのかな灯りがどこからか差し込んでいる。遠い地上から微かな光が届いているのか、発光する植物でも生えているのか、ともかくおかげで明かりを調達する手間は省けるようだった。 「状況は」 神田がそっけなく聞くと、馬鹿に丁寧なサポーター―― 中年の、どちらかと言えば教団内勤務向きに見える男だ。確か以前は総合管理班で隊長をやっていたように思う――が器用に木箱で入口を塞ぎながら答えた。 「先日アクマに襲われました。中央路で四体と接触、うち一体は進化の兆しがありました。ですがアクマが……連中が仲間内で共食いを始めた為、我々に犠牲はありません」 「……どういうことだ?」 「どこからか甲冑みたいな型をした大柄なアクマがやってきて、進化し掛けているアクマを含め四体を食ってしまったんです。そいつは我々やイノセンスには全く興味を示さずに、「食事」が終わるとどこかへ消えてしまいました」 「……共食いか。どこかで聞いた話だな」 神田は顔を顰めて吐き捨てた。サポーターは訳がわからなかったようで、「は?」と聞き返してきた。それには答えずに神田は頭を振り、それよりもイノセンスだと言った。 「アクマどもが訳わかんねぇ動きをするのは今に始まったことじゃねえ。急ぐぞ、どこだ」 「はっ、この先の小部屋です。この辺りは狭い通路が入り組んでいるので、アクマどももおいそれと入り込んでは来れないでしょう」 通路も周囲の建造物と同じく、長い年月の経過で朽ち、今にも崩れそうだった。地下部分が崩れて生き埋めなんて事態はごめんだなと神田は考えた。ろくでもないが現実味があった。 身体を屈めてようやっと小部屋に辿り付くと、中には憔悴しきった白服の団員が詰まっていた。うちの一人がイノセンスを所持していた。彼らはアクマが徘徊している地上に出るに出られず、ここでエクソシストを待っていたのだ。 彼らをぐるっと見回し、神田を案内した男が訝しげに目を眇めた。 「……ん? チャーリーとターナーはどうした?」 「はい、見まわりと、周辺の地理状況の把握の為に出ています。これまでの情報によれば、地下から海岸線に出ることが可能だとか」 「そうか……では明日の朝には発とう。こんな場所で長居は無用だ。神田殿、構いませんか」 「問題ない」 憔悴しきっている白服を引き連れて行くのは少々面倒に感じたが、地理が解らない以上しょうがない。神田は頷き、白服からイノセンスを受け取って、壁に凭れて座り込んだ。 ◇◆◇◆◇ チャーリー=ロバートとターナー=ホプキンスは元々探索部隊の人間ではない。それは今回の任務で行動を共にしている幾人かの同僚たちも同じだった。 隊長のスペンサーは総合管理班所属だったし、隊内唯一の女性隊員ロザリーも元々は通信班にいた。人員不足で駆り出されたのだ。 先のアクマの総攻撃からこっち、随分団員の人数が減ってしまったから、前々から人手不足が深刻だった探索班に掻き集められてきた。 それは特別に強制された訳じゃなかった。何人も仲間を殺されて、もう黙って見ているだけではいられなかったという理由もあったかもしれない。 「ターナー? そっちの様子はどうだ。上手く抜けられそうか?」 無線機に話し掛けると、ターナーからすぐに返事が返ってきた。 『ちょっと難しい。まっすぐ進めないんだ。曲がりくねってる――くそっ、壁に穴でも開けられたら楽なんだけどな』 「そうか、わかった。こっちはどうやらなんとかなりそうだ。水路を見付けたよ。きっと海まで続いてる」 『本当か! そりゃ良かった。じゃあ一旦そっちに向かうよ。合流しよう』 「了解」 チャーリーは口笛を吹き、辺りをぐるっと見回した。薄暗くてじめじめして、あちこちに奇妙な虫の姿が見られた。 「……それにしても気味の悪いところだ。幽霊でも出そうだな」 『チャーリー、止めてくれよ。そういう話苦手なんだ』 「はは、出たってこんな迷路じゃ幽霊だって迷っちまうよ。こんなところで死んだら、道に迷って天国に行けないだろうな」 『そうだな……あれ?』 ターナーがちょっと驚いたような声を上げた。受信機越しにも、彼の訝しさが伝わってくる。 「ん? どうした?」 『ああうん……あれ? そこ……誰かいるのか?』 「え?」 チャーリーはきょとんとして、受信機をしげしげと見つめた。ターナーの奴は何を言っているのだ? こんな廃墟の地下に誰かいる訳なんかない。あるのは鼠の死骸と人形の残骸だけだ。 「何馬鹿なこと言ってるんだよターナー、いるわけないだろ、こんなところに俺たち以外の人間なんて」 チャーリーは笑い飛ばしてやろうとした。でも受信機からは、しばらく沈黙だけが流れてきた。 やがて随分経ってからはっと息を呑む気配があって、上擦ったターナーの声が漏れ出してきた。 『――えっ……お前……し、死んだんじゃ……』 ターナーの声は悲壮味を帯びていた。それから悲鳴が甲高く響いた。チャーリーは驚いて送信機を怒鳴りつけた。 「ターナー! どうした、落ち付け!」 『来るな、こっちへ来るな! 仲間だったろ!?』 「ターナー!」 『ウォーカー! うわあああッ!!』 「ターナー!!」 チャーリーは叫んだが、受信機は急に途切れてしまった。ターナーの悲鳴はもう聞こえない。 「な、なんなんだ……」 チャーリーは慌てて合流地点へ戻ろうとした。 だが手を滑らせて無線機を取り落としてしまった。 乾いた音を立てて無線機が転がっていく。かつっと音を立てて壁にぶち当たったタイミングで、受信機からトーンの高い少年の声が響いてきた。 『ここはどこ?』 それは聞いたことがある声だった。確か以前、食堂でエクソシストと口喧嘩をやらかしていたサポーターの少年のものだった。 もう死んだはずの、アレックス=E=ウォーカーという少年の。 『暗い……どこなのか解らない』 声は虚ろで、感情というものが削げ落ちていた。もし死者が喋るとしたら、こんな声で話すんだろうという感触だった。 チャーリーは真っ青になって、逃げ出そうとした。だが受信機から聞こえてくる声は止まない。 『……お前、聞いているんでしょう。すぐにそちらへ向かいます』 「ひっ!」 『ここはどこ?』 「うっ、うわああああっ!!」 チャーリーは半狂乱になりながら、耳を塞いで駆け出した。大声で悲鳴を上げながら前も見ずに走った。彼は混乱の余り、ここがどういう場所であるかということを忘れていた。 踏み出した足が腐りきった床を盛大に踏み抜いた。彼は落ちていった。深い深い奈落の底へ。 ◇◆◇◆◇ 見回りに行った白服が戻ってこない。 時計は午前二時を指していた。神田がここに到着してから、もう半日ばかりになる。 例の隊長はかなりぴりぴり来ているようだった。しょっちゅう腕時計と睨めっこをしている。 「遅過ぎる。何かあったか……」 「殺られたな」 神田が無感動に告げると、隊長はぱっと顔を上げ、しばらく物言いたげに口をもごもごさせていたが、結局肩を竦めて黙り込んでしまった。しばらくしてから彼は控えめに、「事故に遭ったのかもしれません」と言った。 「この街の建物は脆い。古いし、湿気にやられています。もしかすると崩落に巻き込まれたのかもしれません。……私がちょっと見てきます」 そう言って立ち上がり掛けた隊長を目で制して、神田は冷たく告げた。 「駄目だ」 「しかし!」 「どのみちお前らサポーターの能力の個人差なんてたかが知れてる。もう一人犠牲者が増えるだけだ。おとなしく待機していろ」 神田は吐き捨てるように言い、立ち上がった。 そして壁に立て掛けていた六幻を腰に差し、乱暴に靴を踏み鳴らしながら部屋を出た。 「……神田殿? どこへ行かれるんだろう」 「隊長、あの人もしかして隊長のかわりに見回りに行ったんじゃあないですか?」 「――そうなのか? なあ、ああいうきつい物言いするけどさ……」 「うん、もしかするとちょっとだけいい人なのかもしれないなあ」 ◇◆◇◆◇ 水路の近くに、割れた無線機が転がっていた。拾ってスイッチを入れてみたが、何の反応もなかった。完全にいかれてしまっているようだ。 床には巨大な穴が開いていた。まるで奈落の底に続くんじゃあないかというくらいに深い穴だ。神田は舌打ちをして、穴を覗き込んだ。底は見えなかった。どうやら白服はここで事故に遭ったらしいと、容易に見当がついた。間違ってはいないだろう。 「……アクマの仕業じゃねぇな」 異常は無かった。間抜けな隊員が足を滑らせて穴の底へ転落。この高さでは即死だろう。 確認が済むと、神田は無線機を団服のポケットに突っ込んで、来た道を戻ろうとした。 ちょうどその時、壊れているはずの無線機から耳障りなノイズが聞こえてきた。 ――甲高く、神経に障る音だ。それに混じって人間の声のようなものが聞こえた気がする。 『――……ったの? はは……りだ……あはは……』 かすかだが、トーンの高い笑い声だ。はじめは子供の声のように聞こえたが、段々と耳が慣れてくるにつれて、やがて神田はその声質に覚えがあることに気付いた。 ノイズが徐々に引き始めている。やがて一瞬しいんと静まりかえった後、奇妙にクリアな声が無線機から流れてきた。 『……きみは誰?』 この声を忘れるはずがない。宿敵の声だ。「そいつ」は平坦な声で問い掛けてきた。 『エクソシスト?』 「――モヤシッ!!」 神田は無線機を捻り潰しそうなくらいに強く握って、怒鳴った。 アレン=ウォーカーがここにいる。 ◇◆◇◆◇ じめっと湿った闇の奥の方から、硬い靴音が何重にもなって響いてきた。ゆっくりとした足取りで、気負いというものが感じられない。ただちょっと散歩に出掛けているとでも言うような気楽な足音だった。それこそ彼女に相応しいものだった。あの人を食った感のあるノアには。 やがて姿を現した彼女は、壊れた無線機――神田が先ほど回収したものと対になっているものだ――を気取りのない仕草で耳に当てていた。 もう見慣れた姿だった。肩につく位の白髪は、最後に遭った時よりもほんの少しだけ伸びていた。額から頬に掛けて奇妙なかたちの傷痕があった。相変わらず男物のスーツなんか着込んでいる。 そしてうすっぺらい銀灰色の目が、まるで物を見るような感じで神田に向けられていた。 神田は、まずそいつを奇妙に思った。 アレン=ウォーカーはここまで無機質な顔つきをしていただろうか? まるで感情や意志、思考と言ったものを無理に顔面から引っぺがしてやったような、いまひとつしっくりこない表情だった。元来彼女に表情なんて上等なものは無かったが、ここまでひどくはなかった。これではまるで、ただの人形だ。 「ハロー?」 アレンは首を傾げて、ふざけた挨拶をした。神田が顔を険悪に歪めても、彼女に頓着した様子はなかった。 これは、いつものことだった。でも何かが違う。たとえばあの馬鹿にした様子や、面白がるような目の光がない。 神田と顔を合わせた時の、あの性質の悪い「玩具を見付けた子供」のような顔がなかったのだ。 「お前……モヤシ?」 「こんにちは、エクソシスト。失礼ながら僕を知っているような顔ですが、どこかで会ったことが?」 アレンが肩を竦めて大真面目な顔で言った。 神田は息を呑み、目を見開いて怒鳴った。 「ふざけんな! こっちはてめぇに散々迷惑掛けられてんだよ!」 「僕がですか? おかしなことを言う。むしろ、感謝していただきたいくらいです。僕はあまり嬲り殺しは好きではありませんので――」 アレンはそこで笑った。口が耳まで裂けたおぞましい笑顔だった。人を殺すのが楽しくて嬉しくて仕方がないって顔だ。 教団でリナリーに向けていたうさんくさい紳士の笑みや、時折見せたあの苦しそうな微笑とは決定的に違っていた。 まるっきり、まじりっけなく、化け物の顔つきだ。 「最も効率良くデリートして差上げられます。そのお陰でそんなに苦しまずに死ねるんですよ。悪く思わないで下さい、僕も楽しい楽しい仕事の最中なんですから。……行くよマナ」 アレンの腕が動いた。優雅に胸に手を当てて一礼したかと思えば、その姿がすうっと掻き消えた。 すぐに視線を辺りに散らして、ばっと目を上げると、彼女は鈍い灰色をしたアクマの巨躯の上に腰掛けて、どこか面白がるように――そればっかりは、あの神田が良く知っていたアレンのものだった――足をふらふら揺らしていた。 「さあエクソシスト、遊びましょう。七面鳥撃ちはお好きですか?」 そこでアレンは弾かれたように、まるで子供のように屈託なく笑った。閉鎖された空間の中で、それはまるで哄笑のように響いた。 どう見てもアレン=ウォーカーは情緒不安定に見えた。まるっきりの無表情かと思えば、急に大笑いだ。 それにまるで神田のことを覚えちゃいない。まったく、何か決定的なところが変化するにしても、腹の立つところだけは変わらないのだ。神田は舌打ちし、躍り掛かってきたアクマの大剣を避け、身を翻した。 アクマの名前はどうやら『マナ』と言うらしい。確か、彼女の養父の名だ。そのアクマを呼ぶアレンの声はひどく優しげだった。 「随分すばしこいですね。まるでイタチのようだ。精々頑張って抵抗して下さい。その分苦しむ時間が増えるだけだと思いますが、まあ投降はいつでも受け付けますよ。すみやかにデリートして差上げます」 「っざけんな! おいモヤシ! てめぇ、今日という今日は絶対ぶっ殺してやるからな!!」 神田は怒鳴り、細い通路に入り込んだ。 大柄なアクマの身体では入り込めないだろうと考えたのだが、巨大な甲冑は構えた剣を振り被って身体の周りの壁に振り下ろした。躊躇なく通路ごと破壊しながら追ってくる。 「あはは、早い、早い! 貴方今のところ僕の敵の中で一番の素早さです。頑張って下さい、貴方なら耐久時間も更新してくれるかも」 アレンのすごく機嫌が良さそうな声が頭の上から聞こえた。そのすぐあとに、背後からアクマが突進してきた。 壁を蹴って避けたところで目の前にいきなりアレンの顔が現れた。何もない空間に、いきなりふわっと転移してきたのだ。 彼女は左腕を突き出していた。それからにこっと微笑み、首を傾げた。何をするつもりなのか訝る間もなく、眩い光が神田目掛けて飛んできた。 「っぐ……!」 銀色の光弾だ。飛び道具を構えているような気配は微塵もなかったが、どうやらさすがに得体の知れないノア一族だけあって、なんでもありと言う訳らしい。 危うく肩ごと持っていかれるところだったが、すんでのところで半身を引き、腕を焼かれるだけで済んだ。 それにしたって軽い傷じゃあない。神田の再生能力なら丸一日あれば跡形もなく治る程度だったが、そんな時間の余裕があるふうには、どう楽観的に見積もってみても無かった。 だがこんな状況にも関わらず、それは神田に奇妙な感覚をもたらした。 こんなになってもアクマを前にした時のようなあの嫌な感覚がないのだ。六幻も震えている。 例えばイノセンス同士を触れ合わせた時のような、奇妙な共振めいた感触に近い。 「さあ、これでもう腕は使えませんよ。まずはお飾りのイノセンスから破壊しましょうね」 アレンが薄く笑った顔で言った。何気ない調子で、まるで食事の誘いでもするような気安さで手を伸ばしてきた。 だが、そうおとなしく彼女の思い通りにさせるつもりもない。 そう、彼女自身が言ったはずだ、あの時「エクソシストなら死んでもイノセンスを離すな」と。 「……六幻、災厄招来――」 「……貴方は怖がらないの? 珍しい、他はみんなもう絶対命乞いしてるのに」 アレンはきょとんとしている。彼女には相変わらず気負いってものがなかった。 「やれるものならどうぞ、お好きに?」 アレンは蔑むような顔つきで、肩を竦めてお手上げの仕草をした。 もし攻撃を受けてばらばらにされても死なないという絶対の自信があるのだろう。以前もそうだった。引き裂かれても、一瞬で再生した。それは神田の再生能力とは比べ物にならなかった。彼女は本物の不死者だった。化け物なのだ。 アレンに死を畏れる様子はまるで見て取れなかった。 おそらく彼女は知っているのだろう、エクソシストたちが全てを掛けて抗っても、彼女はすぐに元通りだ。かないっこない。そして絶望が無抵抗を呼ぶことを知り尽くしているのだ。 だが、神田は構い付けずに刀を振るった。 敵への殺意や、決して負けられない戦いの中に身を置いているのだという義務感よりも、ただこのアレン=ウォーカーという生意気で腹立たしくどうしようもない存在に敗北する訳には絶対にいかないのだという意地がそうさせたのだ。 「界蟲「一幻」!!」 剣撃が、まっすぐにアレンを襲う。相変わらず彼女は表情ひとつ変えずに――いや、 僅かに訝しい顔をして、目をぼおっと見開き、微かに唇を動かした。 「――……刀のイノセンス?」 一幻の衝撃波がアレンを飲み込み、切り裂き、そして追撃に叩き込んだ六幻の刀身がアレンの胸に吸い込まれていく。 迷いなくアレンを斬り捨てる。 不死者、ノアの一族、裏切り者のスパイで、いつか教団に潜り込んでいる時分はいつも神田の後ろを勝手にくっついてきていた邪魔っけな彼女を。 『……おや、神田さんじゃないですか。お久し振りです』 『あなたほんとにバカなんですから! 変な気なんか遣わないでくださいよ、気持ち悪い!』 『……構いませんよ。貴方に嫌われてるってことは知ってますから』 まだ何も終わっちゃいない。この程度でノアのアレンを仕留めきった訳じゃない。 でも何故か以前聞いた彼女の言葉ばかり浮かんでくる。くだらないことばかりだ。 アレンの身体がのけぞって崩れた。 重苦しく手首に掛かってくる肉の感触は、アクマの鋼鉄のボディなんかじゃなく、ただの人間を斬った時のものと何も変わらなかった。 |