『よっ、楽しんでっかエージさん』





『うん、すごい、楽しいんだ。ほんとだ。今がさ、今夜がもっとずーっと続けばいいのにな』





『バッカおめ、ンな深刻なんなよ。いつでも会えるって。ニホンだろ? ヒコーキでも新幹線でも、ピュっと行ったり来たりしちゃえばいんだって』





『……そうだな。また、会えるよな。いつか会おうな。ずーっと、友達だよな』





『オメーの親父さんってどんななんだ?』





『ん……格好良い』





『そういやお前すごいファザコンだったな……可愛いヤツめ……親父さん羨ましい……』





『優しくて、俺のことばっか考えてくれてて、嬉しいけどこの人俺がいなくなったらどうすんだろってたまに心配になることもあって、なんか、うーん……あったかい人。だらしないけど、結構真面目。約束はちゃんと守れって言ったり』





『お前どっち似? 可愛い顔してっからお袋さん似か?』





『可愛くないって……俺、お父さん似だって。そっくりだって言われる。――俺の、ひかり。あの人がいたから、俺はまた人間になれたんだ』





『あん? なんだって?』





『あ、いや、なんでもないよ。……そろそろ、時間だよな。遅いし。あの……おやすみ』





『また明日な。ガッコで会おうぜ。つーか、終わった後みんなでカラオケいかね? オメーの大好きな親父さんも一緒に誘ってさ。親父さんカラオケ好きか? あ、好きだよな。お前の親父だもんな』





『……じゅんぺ』





『お、おお? え、えーちゃん、どしたの? 泣くなって。だいじょぶだって、寂しくねーよ。……最近色々便利んなってんだからさ、オレぜってー休みんなったら、お前に会いに行くから。お前もコッチ来いよな。ンだよ、オメーせっかくキレーな顔してんのによ、そんな泣いてばっかじゃ勿体ねーだろ。つか今週入ってから、一日一回はお前の泣き顔見てる気がすんぞ、この泣き虫さんめ。ほれ、ちゃんとぴんとしてたら多分お前すっげーカッコいーんだぞ? 女子にモテモテだから、ぜってー』





『ごめっ……なんかほんと、ごめんな。迷惑掛けてばっかで、最後までこんなで、俺ほんとダメだ』





『バッカ、水臭えこと言わねーの。いい子だから、もう泣くなって。なっ?』





『ん……また、明日な、順平』





『おう、また明日な、えーちゃん』





『元気でな。……またな、ずーっと、友達だよな』





『ったりめーだろ。ナニ言ってんだよ、バッカ』





『なあ、この一年、すごい、楽しかった。……ありがと、な』





『バカ、最後みてーに言うんじゃねーよ。これからもずーっとだって。死ぬまでお前の面倒見てやるって。だから、またな』





『うん、……さよなら』




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